ChatGPT 相手にキャリアカウンセリングのロールプレイをやってみた。
こんにちは、AWS事業本部の神保です。
(※ 3/29 に一部加筆しました)
突然ですが、私はキャリアコンサルタントの資格を取得するための講座に通っています。
働く方の職業の選択についての助言及び指導を行うための資格です。
資格取得のためには、国家資格試験に合格する必要がありますが、
それには学科だけでなく実技試験(論述と面接)の通過が必要です。
共に講座に通う方々は、人事部門の担当者など、普段から学んだことを実践の場で試す機会を持つ方も多いのですが、
私の場合、なかなかそういう場が無いため、特に面接には若干の不安があります。
例えば、傾聴や、相手の内省を深めるための受け答えができているかというところですね。
対人でロールプレイを積むことが訓練の基本ではあるのですが、なかなか機会の無い私としては、いっそのことロールプレイを ChatGPT とできないかと思い、
今回は、GPT 3.5 を用いてロールプレイしました。
また、GPT にカウンセリングに対しての改善点をフィードバックしてもらうということをやってみます。
テーマは記載の通りですが、コーチングも、キャリアコンサルティングと手法や目指すところに類似点は多いため、コーチングに馴染みがある方はその視点でも見てもらえればと思います。
それではやっていきましょう。
概要
やったことはシンプルでして、
GPT とロールプレイをする → GPT へ改善点をフィードバックしてまたロールプレイをする の繰り返しです。
最後に、カウンセリングに対してのフィードバックを GPT からもらいたいと考えています。
はじめに結末を書きますと、ある程度やりたかったことは成功したのではないかと思います。
途中、望んだような応答をしてもらうための試行錯誤が色々ありましたが、
最終的には、GPT を相手にキャリアカウンセリングを行い、そのフィードバックを得ることができました。
本稿の最後に、こういう指示を事前に GPT にすればよいのではないかという例を記載しました。
もちろん、人間と比べると、色々と流ちょうすぎたり、そもそもチャットなので・・という点は否めません。
ただし、いい点もあります。
人間相手とは違い焦らず自分のペースで考えて何度試行錯誤しても大丈夫という点で、
相手への質問を考える訓練などにはには使えるのかな、と感じました。
GPT 3.5 が苦手だったこと、学び
次の章に、実際に GPT とロールプレイを進めた実際の様子を貼りましたが、
ロールプレイを重ねる中で分かったのは、ある程度の条件の指定が必要だなということでした。
GPT は時に話しすぎる傾向があり、上からの提案や説教が多すぎると感じました。
また、文字数が多すぎるため、本質的なメッセージが埋もれてしまうこともありました。
また、GPT の応答は、ロールプレイであっても第三者視点が多く、実際の人間はそんな説明口調の応答はしませんよ、ということも多かったです。
これについては、チューニングを重ねると改善する手ごたえはあったのですが、(かみ砕いて説明して、中学生に分かるように説明して、など)
まだ掴みかねるところがあり、今回の試行では深追いはしませんでした。改善の余地はありそうです。
ともあれ、後ほどに記載しましたある程度の条件を事前にインプットすることで、
ある程度改善できることも多かったため、もう少し時間をかければ、よりロールプレイの練習に向く応答が可能となる可能性は高いと感じました。
GPT とのカウンセリングの道のり
← をクリックすると確認ができます
- クライアントの設定を考えてもらい、まずカウンセリングをやってみました。
-
一見順調に応答が進んでいるように見られる。
- クライアントの化けの皮がはがれてきた。GPT、怒涛の上から提案モードに突入。
- GPT に対しあいまいな指示出し(控えめにしなさい、リアルな人間のようにしなさい)を行う → 結果、あまり効果なし。
- キャリアカウンセリングのアプローチを GPT に認識させる。
- アプローチを補強するために色々覚えさせる。
- 詰め込みすぎたのか、自分が誰だかわからなくなるGPT。大橋さん(クライアント)はあなたですよ。。
- 突如ロールプレイを中断し解説を差し込んでくるGPT。(クライアントに来た質問を、GPT に来た質問かと受け止めて回答してくる)
- GPT と、再発防止に向けた会話を続ける。
- どんな指示が GPT に対し有効となっているか本人に言わせるスタイルにした。ここから、ロールプレイ中の会話には「」を発言に使うように指示したところ応答が改善。
- 順調に進行が進む。
- 無事にロールプレイが終了。
- GPT に、あらかじめインプットしたアプローチと比較してのフィードバックをもらう。
- どういう質問ができればさらによかったかの提案をもらう。
- その質問をして、どういう反応をくれるのかを試す。人とロールプレイするときにはこういうのは躊躇してしまうので、ありがたい。
- さらに、今後カウンセラーとしてどんな対応をするとさらによいかを案をもらい終了。
事前に指示するべき内容
というわけで、最終的には無事ロールプレイを完了することができました。
今回の試行をもとに出来上がった、あらかじめロールプレイをする際に GPT に指示をするとスムーズに進むと予想される、事前指示書(?) が以下になります。
再現性を確かめるために別の環境でも試したところ、期待するように動きましたので、ChatGPT 3.5 ならそのように動くのではと予想しています。
事前に、キャリアカウンセリングについてのアプローチ方法について、Webサイト等の情報をインプットしておくと、より教科書に沿ったフィードバックをくれることが期待できます。
文中のすべての文言が有効に働いているかは疑問なところもありますがご了承ください。
事前指示1(クライアント設定の作成)
私はキャリアコンサルタントです。ロールプレイの練習としてクライアントの事例が欲しいです。 複雑な人物像のクライアントの設定を考えてください。例えば、年齢、性別、職業、悩みの内容などを含めて、より多様な要素を組み合わせた設定を作成してください。悩みの背景や関係性が複雑であり、キャリアカウンセリングのアプローチが必要な状況を想定してください。
GPT の応答後、以下を入力し、ロールプレイをスタート。(名前欄は適宜変更してください)
事前指示2(ロールプレイの開始)
ロールプレイをしましょう。以下はカウンセリング時のルールです。 ・1回の発言は150文字以下にしてください。 ・クライアントは自身の悩みの原因や状態、解決策について認識をしてない場合が多いです。少なくとも解決策について知らない状態で始めてください。 ・会社の状況など知っていることについては断定でいいですが、自分の気持ちや自身の状態には断定はしないでください。~だと思う、~だと感じる という表現を使ってください。 ・クライアントとカウンセラーの発言は、必ず「」内に記載してください。 「」外の発言は、ロールプレイしているキャラクターではなく、あなたに対し聞いている内容になります。 では始めましょう。 「こんにちわXXさん。カウンセラーの〇〇です。よろしくお願いします。」
ここではクライアントの設定を考えてもらうことからスタートしていますが、
何も指示を出さないと毎回似たようなクライアント設定となる場合が多いため、
事前指示1として、複雑な状況をもったクライアントの設定を考えてもらっています。
その応答をもって事前指示2としてカウンセリングをスタートさせています。
また、蛇足かもしれませんが、振り返りの際には以下のような文章で振り返りをしました。
振り返り
一般的なキャリアカウンセリングのアプローチから見て、今回のカウンセラーである私のやり取りはどうでしたか? あなたの見立てで、追加でこんな質問をするのもいいアプローチだと考える、追加の質問などはありますか?もしあれば具体例を挙げてください。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は GPT を相手にキャリアカウンセリングのロールプレイをやるということをやってみました。
最後に、GPT は応答が人間とはだいぶ違いますので、あまりその応答に慣れてしまうと逆に面接の対策としてはよくないとは感じています。
(本当は対人でトレーニングをしたいところです)
ただ生成AIの進化は目覚ましいため、またどこかの機会で、別のエンジン、または音声で応答を返してくれる製品などを利用して続きの取り組みをやってみたいと思います。
それでは今回は以上となります。ありがとうございました。